甘草

甘草

甘草は、中国北部、中央アジア、シベリア、イラン、およびヨーロッパ各地を産地とするマメ科の多年草です。高さ40〜70cmの多年草で長さ1〜2ｍにもなる大きな根茎があり、四方に地下茎を伸ばします。6〜7月頃に花をつけ、7〜8月頃に実を熟します。主に根を乾燥させて使用します。古くから東洋でも西洋でも薬用植物として用いられてきました。日本では300年以上前から栽培が行なわれ、緩和作用、止渇作用、生薬、漢方として使用されていました。また、甘草はリコリスとも呼ばれ、ハーブ先進国であるドイツでも喉や鼻の消炎剤、また胃や十二指腸潰瘍の痛みの鎮静剤としての効果が認められ、世界中で様々な疾患に対する研究、効果の実証がされています。甘草の主成分であるグリチルリチンには、副腎皮質ホルモン作用とくにアルドステロン様の作用や抗炎症、抗アレルギー作用がありますが、甘草を長期間大量に連用すると脱力感、四肢（しし）のけいれん、麻痺などの副作用が生じる場合がありますので、長期間大量に用いることは注意が必要です。甘草は、独特の薬臭い香気があり砂糖の50倍〜80倍の甘みがあります。しかも、砂糖に比べると非常に低カロリー。欧米諸国では、その独特の香気や低カロリーの利点を利用した菓子やルートビアと呼ばれるソフトドリンク、リキュールの原料としてよく利用されています。日本では、醤油や清涼飲料水、お菓子の甘味料として使われ、東南アジアでもサルシコーラ、台湾コーラ等の甘草の香気と生薬効果を活かした飲み物やお菓子等があり、食品の添加物としても世界中で利用されています。また、甘草から得られるグリチルリチンやその他の物質は消炎作用や美白の効果が期待され、化粧品や医薬部外品の原料としても使用されています。